2007年3月

先月お休みだった、YO1、SAYJI兄弟が、理由はわからないけれど、モーレツなハイテンションでやって来ました。

兄は今年中学卒業で、養護学校高等部へ進学します。
昨年末、ヒョロヒョロと背が伸びて、見上げるほどになってしまった彼に、「卒業おめでとうございます」とおじぎをしたら、負けないぐらい深々とおじぎを返してくれました。
テンションが高くて積極的なのはいいのですが、そうすると制作のみならず、とんだりはねたり騒いだり(ソプラノで?)になるので、けっこう大変。

今回は、いつもおとなしい弟も、言葉数が増えて、さわぎの仲間入りという有様で、他の会員のかたがたに、ずい分迷惑をかけてしまったと思います。
でも、みんなやさしいし、つきあいが長いからよくわかってくれて、出来上がると、「すてきねェー」とか「上手にできたネェー」なんて拍手してくれるので、ますます彼らはうれしいのです。

それで発見がありました。まず、兄はいつも、上達した刀使いで彫り上げると、すきまなく色を塗りたくるのですが、今日はジーッと自分の板を見つめて、ちゃんとした意識を持って色を塗り分けたのです。いつものように色をまぜこぜにしないで、きちっとわけて色を塗り、色づかいも心なしか、穏やかでやさしい感じがしました。
対称的に弟は、めずらしく、というか初めてすきまなく色を塗りました。
だいたい彼は、描いて彫るということも、まだちゃんと受けとめていなくて、「ホントのところ、やりたいのかな?」というような風情で、大変大ざっぱな作業ぶりなのです。
描く事は描くこと、彫りは絵に関係なく適当に彫る、というのは変わらなかったのですが、絵の具は違いました。
以前、兄は弟のぬり残しが気になって、ハケを奮ってぬろうとして、私に何回も叱られています。で、終ったとたんにさっとハケを取って、板に思う存分ぬってしまったこともあります。
今回は、2人ともどこかが成長して、変化があったということでしょう。

それから家でひとつ事件があったそうです。
もう1人弟がいるのですが、3月、小学校を卒業しました。その卒業制作かなにかで、額縁を彫らなきゃならなくて、机の上に板と彫刻刀を置いてあったのですが、それを見つけたYO1が、弟のいない間に彫ってしまったとか。板があって彫刻刀がある、「俺の出番だ」と思ったのでしょうね。大爆笑でした。
高等部に行ったら版画に来られるかどうかは、わからないのですが、この頃、自分が終るとケーイチのところへ行って、長身を折り曲げるようにして、ジーッと作業に見入っている様子などからも、小学校5年生の時から続けてきたこと、ぜひ一生の趣味にしてもらいたいと願っています。


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