8/22「カンバスに描いてみよう」
〜W・Hくんの場合〜

普この暑かった夏の中でもかなり暑かった8月22日、「石に絵を描こう」にも参加し
た小学2年生のW・Hくんが「キャンバスに描いてみよう」講座に参加しました。W・
Hくんは家でも良くマンガなどを描いていて、「キャンバスってどんなのだろう?」
と、ずいぶん楽しみにしていた、とご家族から聞きました。学校ではまだ絵の具を使っ
たことはないとのことですが、最近家で水彩絵の具を始めて使って絵を描き、家族に
とてもほめられたのだそうです。

午後3時スタート。絵の具や筆で描くこと、色を混ぜること、カンバスのことなどを
まず説明しました。説明を聞きながら、自分が好きな絵(マンガとかアニメの絵)の
話しや日常のこと、最近ほめられた水彩画のことなど、しゃべるしゃべる…。
W・Hくんのことは以前からよーく知っていますので、自分で納得しないと前に進まな
いことはわかっています。なので、話を聞き、「それはどうして?」「これはなんで?」
といった質問に答えながら、説明していきました。
その段階ですでに30分くらい経ってしまったでしょうか。W・Hくんが水彩画をどう
しても見せたいから家に取りに行く、と言い出したので「いいよ。ついでに水筒も持っ
ておいでよ」と、一度休憩。

家は近所なのですぐに戻ってきて、いつも使っているお絵書き帳と水彩画を見せてく
れました。水彩画はなかなか上手に描けていました。そして驚いたのがお絵書き帳の
方で、何冊ものノートを束にしたすごい量です。中身はほとんどマンガやアニメのキャ
ラですけど、見て描いたにしても小学二年生にしては上手だし、本当に描くことが好
きなんだなと思います。
W・Hくんは今回カンバスに描くものもいつものようにアニメやマンガのキャラを描き
たいといいました。なので、キャンバスに筆で描くのには、細かく輪郭を描くような
絵は難しい、といった話をしましたが、どうしても描きたいというので、初めてとい
うこともあるし好きなものを描いてもらうことにしました。

そこで、普段子どもに描いてもらう場合、鉛筆の下書きはしないのですが、キャラク
ターをいきなり筆で描くのも無理そうなので、鉛筆で下書きをすることにしました。
大まかな下書きを…と説明したのですが、どうしても普段ノートに描いているやり方
から離れられないようで、髪の毛とかも細かく鉛筆で描こうとします。しかし、紙に
描くようには上手くいきません。それに、消しゴムをかけるのも、消えづらくて一苦
労。「消しゴムがうまく消えない」と、大きな目をうるうるさせて訴えていましたが、
「うん、がんばって消さないと消えないよー」と、本人が格闘するのを見守っていま
した。
なんとか一旦キャンバスをきれいにすると、今度は下書きせずに絵の具で直接描く、
と言い出しました。黒でまず輪郭を描きたい、というので、黒は無彩色だから使わな
いことを説明し、黒の変わりにこげ茶はどうかと提案。筆の太さや画材によって描き
やすいもの描きにくいものがあることなども再度説明。何かを見ながらそのままマネ
するのでなければマンガでもいいか、と思っていたのですが、とにかく、本人が納得
するまで試行錯誤してもらいました。
で、本人なりに答えをだしたようです。「やっぱり(マンガのキャラを)鉛筆で描く
のはやめる。絵の具で魚の絵を描く」と言い出しました。その時すでに開始から1時
間を経過していました。

描くものをきめるまで時間がかかったW・Hくんですが、決まってからは速かった。絵
の具で、ちょうちんアンコウとかタツノオトシゴとか、なかなか形状が難しい生き物
を着々と描きすすめていきました。夏休みに入ってから水族館に連れていってもらっ
たそうで、いろいろな魚のことを良く覚えていました。きっと水族館が楽しかったん
ですね。

30分ほどで下書きが終ったのでちょっと休憩。
その後、全体の着色にはいりました。本人的に上手くいっていない生物は、この段階
で消して、あとから書き足したりしていました。キャンバスに描くという初めての体
験で、どうするのか、何が可能なのか、納得するまで時間がかかったわけですが、納
得してからの絵の具の使い方の習得や制作の進行は、早かったように思います。
そして、6時前に完成。魚を大きく大胆に描いたところや、まわりの水の色も、一色
ではなくさまざまな青を混ぜて深みのある色を出したところがとても良かったです。
生き生きとした作品に仕上がったのではないでしょうか。
魚の中に見なれない生き物が混ざっているのですが、聞いてみたところ、「オシリカ
ジリ虫」なのだそうです。

「キャンバスってどんなのだろう?」と楽しみにしてきてくれたW・Hくん。いろいろ
試行錯誤したけど、3時間も暑い中取り組んで、結構ガッツありますよね。本人も大
満足で帰っていったようです。


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