8/9・10「カンバスに描いてみよう」
〜H・Mちゃんの場合〜

普段なかなか接する機会が少ないであろうカンバス。今回はアクリル絵の具でカンバスに絵を描く講座です。
参加者は小4のH・Mちゃん。2日に分けて一枚の絵を仕上げます。もともと絵を描くことが大好きなH・Mちゃんですが、筆を使って描いた経験はないそうです。
地域や学校によっても差があるようですが、学校で水彩絵の具はあまり使わないのでしょうか?ま〜、図工の授業時間も減っていると言うし、今どきはそんなものなのかもしれません。

そんなわけで、初めて筆でカンバスに描く、ということでかなり張り切って峠工房にやってきたH・Mちゃん。
絵を描きはじめるその前に、道具の使い方や置き方の説明と、「筆で描く練習」「色を作る実験」を行いました。「筆で描く練習」では好きな
色を使って、画用紙にまっすぐな線やなみなみ線、丸、四角、などを描き、筆を使う感覚を体験。
筆をもってサラッと線をひく手付きが結構良い感じです。
「色を作る実験」は三原色の説明をして、さらに三原色を混ぜ合わせて色々な色を作ってみました。「赤と黄色をまぜるとな〜んだ?」と聞くと、最初は「わかんない」と答えましたが、実際にやっていくうちに「青と黄色だと…」「緑?あ!緑だ」と言った感じで、なにやら楽しそう。
混ぜることにより無限の色ができるのが絵の具の面白いところ。
クレヨンではこうはいきません。H・Mちゃんも色を混ぜて作ることは面白かったようで、実際に絵を描きはじめてからも「この色を混ぜてみよう」とか言いながら自分で色をつくっていました。

さて、いよいよカンバスに描きはじめます。サイズは6号です。今回初めてと言うこともあり、とくにテーマなどは決めず好きなものを描いてもらったのですが、ひとつだけ最初に約束しました。
それは、カンバス地を残さないでしっかり絵の具を塗ること。
うす塗りのサラッとしたタッチで、カンバス地がそのまま残っているような絵もありますが、それはその画家のタッチとして生きている場合です。
子どもが描く場合は、塗り残しがあると、途中感たっぷりの手抜きっぽい作品になりかねません。
あと、その他にひとつ気になっていることがありました。それはH・Mちゃんがここ2〜3回峠工房へ来てクレヨンで絵を描いていた時に、いろいろ描いた挙げ句に、最後黒で塗りつぶしてしまったことです。
「たくさん描いたのにもったいないよ」というと、「夜になったから(黒く塗って)いいんだよ」といったことを言っていました。
特に造形教室と言うことではなかったので、その時はそのまま黒く塗るのを見守っていましたが、今回はそれはやらないように最初に話をしておこうかと思っていました。
でも、絵の具で描く場合、無彩色の黒は最初からパレットに出さないわけだし、H・Mちゃんは今日は自分の描きたいものをsっかりと考えてきているようでしたので、そのことについては結局何も言わないことにしました。

描きはじめ、かたつむりと雨と雲、反対側に太陽やうさぎさんを描きました。
さらにいろいろおしゃべりをしているうちに、どんどんアイデアが追加され「ここにハート」「お花も」「メロンパンも」といった具合に、どんどん描きたしていきました。
輪郭線を描いてから中を塗る時も、筆の先端を使ってちょんちょんとなかなか器用に塗っています。それに作業がとても丁寧で、細かいところも塗り残しなく、自分で色を選んだり混ぜたりしながらスムーズに進んでいきました。
途中、「ちょっと休憩」と本人が言い出したので、休憩タイムを取りました。とても暑い日で、峠工房は扇風機だけだし、適度な休憩は必要です。
それを自分で切りの良い時に「休憩取る」と言ったのはなかなか立派です。大人でも「切りが良い加減」って難しいではないですか。
冷たいものを飲んで休憩したら、H・Mちゃんは「続きを描く」と言って自分でさっさと絵を描いていた部屋へ戻っていきました。そして、空の部分などを描いて1日目の作業は一段落。
「明日は回りの白いところ全部塗るからね」と翌日の予告をして終了しました。

2日目。前日の予告どおり、背景を塗ります。「まわり何色にしよう?」「今まで使っていない色の方が、うさぎやかたつむりが目立って良いかもね」なんて話しあった結果、H・Mちゃんが選んだ色は黄色。
黄色の絵の具を2〜3色見せて選んでもらったところ、一番明るい黄色を選びました。
そして、前日に描いたものを塗りつぶさないように、背景を塗っていきます。
もともとの器用さ、真面目さもあってか、とても丁寧な作業です。「あ、ここも塗らなきゃ」とか、自分で塗り方が雑なところを見つけてしっかり塗っていました。
そして、あまり時間はかからずに黄色を塗り終り、空の部分は星が出ているので濃い青が良いと言うことで青を塗って絵ができあがりました。
1日目の進み具合から、わりと早く描き終るだろうと思い、前日のうちにカンバスに合わせて枠を作っておいたので、枠の色も塗って完成です。
枠は上が青、両脇が緑、下がオレンジとカラフルな色を選び、絵の黄色がとても引き立っているのではないでしょうか。(写真は室内撮りでやや逆光だったため、色が良くでていません)

今回初めて絵の具でカンバスに描いてみて、初めてながらなかなか上手だった筆遣い、丁寧で積極的な取り組み姿勢などとともに、本当に絵を描くことが好きなんだなあ、ということが伝わってきたH・Mちゃん。
これからもっともっと描いていけば、楽しい作品がたくさん生まれることでしょう。


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