石に絵を描こう
〜WH君の場合〜

WH君のお父さんは私の同級生、お婆ちゃんはずっと峠を手伝ってくれてたW先生、お爺ちゃんは協力会長。
そんな関係なので、WH君の事は、峠スタッフ一同よ〜っく!存じ上げております。
WH君の必殺技パート1は「僕って可愛いでしょ?光線」。氷川きよしにちょっと似たとっても可愛いWH君は、やれる事でもやりたくないと大きな目をうるうるさせて件の光線を出して来るのです。
こっちもビリー・ブリングルス隊長ばりに気を引き締めて行かないとね!

アクリル絵の具など使うと難しく、とっつきが悪い印象になりますので、ここは峠流、簡単、手軽な油性ペンとポスターカラーマーカーで。足りない色を100均で買ったのですが、赤や青など原色の他に、ピンク、水色などのパステル色、金、銀、ガンメタブルーなども用意。
この企画は、新聞で見た、埼玉の小学校で行ったストーンペインティングから着想しています。
なので、まずは、その新聞のコピーを見せて、どんなものを作るのかを説明する事から始めるのですが、既に金、銀に魅せられてしまったWH君は、もうどうしたいか決まってる様子。
丸くて平たい石を選んで
「これを金の卵にするの。」

石を洗って、ちょこっと日当たりの良い所に置いておけば、灼熱の猛暑ですからあっという間に乾きます。
乾いたら、早速ペイント開始。
「何の卵なの?」
「恐竜の卵みたいに模様を入れたら?」
なんて、外野の声には耳も貸さず、おやつの差し入れに目もくれず、ただただ一心不乱に石を金色にぬり続けます。
「出来た!」
と、同時に石を握り締め、立ち上がる。
はっは〜ん、バアバに見せたいんだね!よし!見せに行こう!と、集会室からの階段を降りる間、ごそごそと後ろに石を隠している。普段は反抗してばっかのくせに、可愛い所あるんじゃん。

バアバに見せた後、一休みして宝だから、宝箱を作る事にしました。
丁度良い箱があったので、どういう風にしたいか聞くとやっぱり・・・
「金ぴかの箱にしたい!」
しかし、これじゃあポスターカラーマーカーがもたんなーと言う大人の事情から、まずは設計図を描いてみる事に。
設計図では定番の宝箱。
「こういう宝箱って、木で出来てて、ばってんになってる所が金とか銀とかだよねえ。ここに木っぽい茶色の紙があるんだけど・・・でも、俺は俺流で作るんだって言うなら、好きな色でも構わないよ。どーする?」
WH君は茶色の木っぽい紙を選びました。
紙は、印刷で使った残りの紙ですから、大きさは箱に合わせてきらないといけません。WH君は左利きでしたが、集会室には普通のはさみしかありませんでした。
「普段左利き用使ってる?」
彼の必殺技パート2「出来ないからやって欲しいけどそれは察してよね光線」が発動しました。
「うん。」
うるうる・・・
「そう、じゃあやり難いかもしれないけどゆっくりで良いからこれで頑張ってみてね。」
しかし、まだまだ彼の光線は出続けています。
「はあっ切りにくい!もう切れない〜!」
がくっ!大げさなジェスチャーのおまけ付き。
「そう?じゃあ下行って左利き用借りて来るから待っててね。」
実は園長は左利きだったのだ!かかったな〜!ぐわっはっは。
で、案の定、W先生に聞いてみれば、
「いつも普通のはさみで切ってるから平気だよ。」
やっぱりか・・・
しかし、こうなったら後には引かせません。しかし彼もバカではない。諦めて使い慣れない左利き用のはさみで最後まで切り、男の意地を見せました。
銀色のテープを貼って、鍵穴と鍵まで作って完成。

一応、学校の夏休みの自由工作に出すつもりのようでしたが、鍵と鍵穴の仕組みが大変に気に入ったようで、帰ってからも爺ちゃん、婆ちゃん、父ちゃん、曾婆ちゃんその他誰でもみんなにやってもらったらしい。

夏休みが終る前に壊れなかったらめっけもん。


戻る