8/7・8峠工房の造形教室「ピタゴラ装置に挑戦しよう
〜IK君の場合〜

今回、造形教室のピタゴラ装置に挑戦したのは、近所の小学4年生IK君です。朝9時半から昼まで、2日間に渡って制作しました。

さて、1日目。造形教室の申込みパンフレットには「こんなふうに作りたい、ということをだいたい考えておいてね」と書いてあったのだけど、園長も私も「考えて来ないかもなー」と思ってました。でも、IK君はしっかり考えてきました。そのアイデアを黒板に書いてくれたのだけど、「ジャンプして坂を登る」とか、「ビー玉をいくつか使って、重さの違いで動かす」とか、「ゴールはふた手に別れてそれぞれ旗が立ち上がるようにする」などなど、とても凝ったアイデアばかり。いや〜、IK君のことは以前から知っているのだけど、こんなにアイデアマンだったとは!と、感心しました。そこで、まずそのアイデアの中で、今回実現可能なもの、無理そうなもの、などを考えて計画を整理しました。時間の都合や、学校の自由工作の宿題で持っていくのに持ち運びが困難になるもの、などは辞める。でも、IK君がどうしてもやりたいアイデアは盛り込もう。そして、いよいよ制作開始です。

まずは土台作り。紙コップをつないで作った塔を2つ作り、IK君が家から持ってきた空き容器にはめ込みます。そうしてできた2つの塔を、土台となる大きめの空き箱に設置しました。IK君はかなり器用で、紙コップをつなぐのも土台に設置するのも、ちょっとコツを教えただけですいすいこなし、仕上がりもきれい。最近の学校では、図工の授業が減っているし、刃物などは危ないから使わせないとか聞きますけど、IK君はカッターの使い方も上手です。「カッター使うのうまいね〜」と言ったら「家ではカッターで鉛筆削っているから」だそうです。素晴らしい。あと、セロテープや紙コップなども、けして無駄が出ないように使うので、ゴミがあまり出ないんですよ。

休憩のあと、ゴール手前の、ふた手に別れる階段を作りました。この階段、片側に透明なセルを貼り、ビー玉が転がるのがちゃんと見えるようになっています。そして、階段のまん中に上手くビー玉が落ちるように、紙コップを設置する位置を決めたりして終了しました。

2日目。まず、スタート地点から、2つの塔をぐるっと回って、ビー玉が転がるコースを作りました。そのコースから、今回IK君がどうしてもやりたかったアイデアのひとつ、「ビー玉が坂を登ってジャンプする」へ続くのだけど…。何度もピタゴラ作りをしている私やnonちゃんも、「坂を登る」というのは苦戦しているテーマです。最初の下り坂と登る部分の角度の実験を何度も繰り返しました。登る部分をゆるくすれば可能ではあるのですが、「すごいっていうところを作りたい」というIK君。何度も実験を繰り返した結果、急な下り坂→坂を登る、というところまでは上手くいったのだけど、そうすると今度は勢いがつき過ぎて、登りきったあとジャンプして紙コップに入るはずが、飛び出してしまいます。そこでさらに実験を繰り返し……なかなか根気があるではないですか!結果、紙コップを大きくして壁を作りビー玉が飛び出さないようにしました。そこで一旦休憩。

休憩時間、IK君はいろいろマンガの話をしてくれたのですが、ストーリーを良く覚えていて、話が面白い。「ドカベン」やら、「甲子園のうた」など、ある年代の人の郷愁を誘うマンガについて、いろいろ教えてくれました。特に熱く語っていたのは「ぜにっこ」とかいうマンガについてです。株とかマーケットとか、難しい言葉を交えて語っていて、「難しい言葉出て来るんだねー」といったら「大体わかる」んだそうな。

さて、いよいよ仕上げです。ゴールの階段にビー玉をうまくのせるには、紙コップの出口からの距離が足りない、ということで小さな紙コップをつなげて、ふた手に別れる階段のまん中に落ちるように工夫しました。階段の右に落ちるか左に落ちるかはその時しだい。なんだか運試しっぽくておもしろい仕掛けです。IK君は左側の階段下にだけ旗を立てて、こちらに落ちると「当たり!」ということにしたのだけど、この旗がすごい!旗と言ってもせいぜい2〜3センチ角の黒い紙を小さい棒に貼付けたものです、が、その黒い紙に白い紙を細かく切り抜いて作ったどくろマークを貼付けてあります。しかも、セロテープを丸めて裏からはり、旗の表面にテープが見えないようにすると言う、見た目のきれいさにもこだわった仕上がりでした。

時間が迫っていたので、IK君が作業している最中に私が片づけを始めると「自分が作ったんだから片付けなきゃ」と心配していて、普段からちゃんと片づけとかしているんだろうな、と感じました。ピタゴラ装置作り初めてで、しかも時間的制約がある中、かなり凝った作品になったと思います。出来上がりを見た園長やNonちゃんも感心していました。

あとで聞いたところによると、まだ小さいIK君の弟がピタゴラ装置で遊ぶのに「はまっていた」そうな。学校に持っていくまで壊れずにいるかなあ…。
(スタッフK)


戻る