2006年8月5日
模型屋さんとおもちゃ屋さんツアー〜約束を守って、好きなおもちゃを買いに行けたのであろうか!〜
神奈川県・相模原市 ホビーショップタムタム

「おこづかいをためて、やくそくをまもって好きなおもちゃをかいに行こう」という事で、8月5日土曜日、生活塾超常連のTくん、普通に常連のSくん、普通に通っているGくんが参加致しました。

はたして、しっかりと約束は守れるのであろうか、という不安は、ないでもなかったのではありますが、無事に、約束を守り通し、各人、素敵に3000円を確保してやって参りました。

でも、Sくんは、当初3つ、4つ守らされそうになったのだとか?

そんなわけで、当日。
Sくんは、ご近所ということもあり峠工房に来ます。
お小遣い、バックパック、などなど、しっかり装備。
のわりには、今ひとつ心もとなさげな様子が見受けられますが、まあ、初めて一人で、お小遣いをもって、自分の好きなように買い物をする、ということなので、そんなもんかもしれません。

バスにのって大和駅まで着くころには、それなりにリラックスしてるようです。

引率の私はお弁当を作ることはしないので(一人分のためにしゃけまで買ってられるかー!)大和のコンビニでおにぎりとサンドウィッチを買って、集合場所に参ります。
すでに、Tくんが来ており、あとはGくんと思ったら彼もまたすでに来ていたのでした。

ここで、峠の園長の説明をし、私が困った時のお守りを渡します。
しっかりぽち袋(お年玉袋)で。

中身は、10円玉と、現在買い物体験中という事を説明し、携帯電話番号を書いてある紙が入って、もし、はぐれたり、迷子になったりした時に、自分で電話をかけられれば携帯に、そうでなかったら、近くの大人の人に頼んで電話してもらう、という事を説明致しました。

ただ、電話をかけてくれというのは自分でちゃんと言う事、というのはありますけれどもね。
(モチロン、紙を渡されたら、電話をかければよいのだ、と大人ならわかる。…はず。)

そんな前フリも終わりいよいよ出発。
まずは、自分で切符を購入します。
切符を買うのもみんな始めてなので、まず買い方の説明をするわけですが、
「100円玉とか、500円玉を出してこの入れ口にいれて、」
「え!、100円とか500円とか、無いよ!千円しかない、細かいのとかないよ!」
「その場合は、」
というのも間に合わず、
「まぁーまー、お金、細かいのが入ってないーっ!」

落ち着けTくん。
「その場合は、ここのお札を入れるとこにいれるんだよ。」
「なんだ、早く言ってよ。」
「話の途中で騒ぎ出したほうが悪い。」

初めて切符を買うSくん、不安げにお金を投入し、子供料金のボタンを押し、行き先までの切符を買い、お釣りをとって終了。
無くしたら困るから切符を持っててくれ、と言い出します。
しかし、そんなことぁ、すでに予測済みよ!(園長が)
交通費用の首から下げる財布のお金の入ってないエリアにキップをしまえば無くさない、と説明し、以後、彼は切符を買うと、必ず財布に入れておくようになりました。

つづいてGくん。
彼もまた(ていうかみんな)初めて切符を買うので、お金をいれながら、ボタンをおしながら、次から次へと、いろんなことをしゃべりながら切符を買い、うっかりお釣りを忘れそうになるという一こまを披露。
まず、手元をしっかり確認するように。
以降、かれは手元をしっかり確認だけはするようにはなりました。

最後にTくん。
お札を入れる場所をおしえ、あとは普通に買います。

改札を抜け、駅のホームに行くころには喋りまくる、GくんTくんのなんだかわからない掛け合いがはじまりますが、実はGくんは、Sくんと同じ小学3年生。
一方Tくんは、体格もでかい小学4年生。

徐々に、GくんとSくんが仲良くなりつつあり、その間を取り持つかのごとく双方にからかいをするTくんと、対抗するGくん、Sくん。
といっても、Sくんはまだまだあまりしゃべりませんが。
Gくんのウルトラおしゃべりに対抗して、Tくんがだんだんいろんな事をいうようになりますけれども、
「このぺちゃぱい!」
とGくんに言ったとき、
「ぺちゃぱいは、女性に対して悪口だけど、ボク男だから悪口にならないよ。」
正しい。
Gくんの反論は正しい。
そこでまた、Tくんがぺちゃぱいを繰り返したら、Gくん
「しーっ」
とジェスチュアをして周囲に女性が居ることを指し示します。

お姉ちゃんの教育の賜物か…。

結果、その部分ではTくん負けましたが、まだまだ諦めきれない様子。
色々と言い出しますけれど、一応は大人としていっておかないと。
「Gくん、でっぱとか言われたら、でっぱらと言い返せばいいんだよ。」(おぃ
ひゃひゃひゃ、と笑うGくん。
「Tも、自分が言われて嫌なことがあるならあまり人に言わないほうがいいぞ。」
言われて嫌なことないもん、と言い張るTくん。
「じゃ、学校でも悪口言われても怒るなよ。喧嘩したとか聞いたぞ。」
なにやらごにょごにょと言って、いったん黙ってからまた二人していろんな言葉の応酬。
まあ、別に相手の欠点を笑いものにしてるわけじゃないし、酷いことを言ってるわけでもないし。
しつこく言うほどのことじゃないので、そのままです。(まぁ小学生ならおとなしい方だな。)

そうこうするうちにだんだんSくんも話に参加してきます。
Gくんに引き摺られたのか、色々ということに。
困ったのはTくんかもしれません。
自分が呼んだ呼び水なんだから、自分でなんとかしなさいよね?


ところが、そんな3人。
乗り換え駅の町田に着くころには、掛け合いもなくなり、普通にいろんな話をしていて、そうして驚くべきことに、Tくんが下二人をしっかり面倒見はじめています。

要は、あのキツイ冗談の掛け合いは、彼らの仲良くなる手段として機能してるのですけれど、これ、毎回そうだとは限りませんし、大人が見ていて喧嘩になるかならないかを見極めれば、それで丸く収まること、のような気がします。
むやみに、汚い言葉を、乱暴な言葉をつかっちゃいけません、と怒れば、それは人をバカにする、相手を虐める手段として、脳に残るのかもしれませんけれど、次々会話をしながら、軽いジャブのようにそういった言葉を言うことで相手がどんな人間かを見ているのだろうな、と思いますし、そのからかう言葉が行き過ぎないように見てるだけで、あっという間に、チームが構成されるじゃないですか。

毎回同じ手法がやくだつとは限りませんけれど、相手を見る、子供たちの様子を見る、ということは、子供を相手にする仕事だったら、必ず必要な基本テクニックだと思います。

そうして、チームと化した買い物ツアーの面々は、町田で乗り換えて横浜線に乗るときには、トイレに行きたいかGくんが他の子に聞いたり、トイレに行きたいからと他の子に待ってもらうというのをお願いしたり、文句をいいながら、にもつもってやろうかというTくんがいたり、となんだか普通の状態が続きます。
この時点で、すでにバカだの、ぺちゃぱいだのなんだかんだというのは出てきません。

大人でも相手を伺うということをするけれど、子供の場合はこういうことが相手を伺うという行為になってるのだということを再認識。
悪口、軽口も最初の軽いやつなら、ある程度は見てるだけが大人に求められる要素かもしれません。

古淵の駅についてからも順調なもので、Tくんが先頭にたったり、真ん中にきたりして遅れそうなGくんやSくんの様子を気にかけるまでになりました。

実は、時間がちょっと早かったので遠回りして歩いてるんで、Sくんが少し疲れ気味、なフリをしたり(だって、その後すぐGくんとふざけたり)、Gくんが植え込みに気を取られたり。
開店したお店に着くころには、なんだかみな、どこに問題があるのかさっぱりわかりません、と私が悩む羽目に。

お店についてからは、すぐに自由行動。
各自、好きなものを、好きなように予算の範囲内で買うわけですけれども、Tくんは、すぐに自分の好きなものを選び始め、Gくんは、初めての場所なので、目を丸くしてあれこを見回し、Sくんはくるまの方へ。
いっぱいあるんです、車のおもちゃ。

一応、何か起こらないように3人が分散したあたりを、くるくると自ら回遊して、だれかが質問してきたら答え、相談されたら相談にのりをしてましたが、結構自由にやってます。
Gくんは当初、トミカのミニカーを5〜6個抱えてましたけれど、他に欲しいものがでたらということからピカチュー自動車のミニカーひとつに変更。

Tくんは、数十分で自分の欲しいものを決めて見せにきました。
「これとこれだと、3000円越えるよな?(200円ばかし)」
「そうだよ。でもジュース飲むお金を使えば、大丈夫だったよ。」
実は、古淵の駅で、ジュース代があるからあとでジュース飲めるけれどジュースを諦めて、予算に足すことができるなら足してもいいよ、と言って有ります。

Tくんは、二つのプラモデルの値段を見比べ、オーバーした分をジュース代からだし、ジュースを諦めれば、これが買えると計算。
後にしっかり掛け算もしたんだから、と自慢してました。(消費税とかか?)

そのころSくんは、Nゲージ鉄道模型のコーナーに釘付け。
彼はピタゴラスイッチが大好きで、そういうおもちゃを作ることを峠でよくします。
Nゲージ模型の、町や鉄橋などを見て、自分のピタゴラスイッチに使いたいと思ったのまでは良いのですが、値段が。
ひとつ買えば、3000円は確実に飛ぶ。
戦場モデルの町並みのをつかって穴から出したい、とおもっても、それだけでは、と思い、もう一軒の店をみて決める、ということに。

じゃあ、移動しようかと言ったら、店頭に飾ってあるお店のお客さんのプラモコンテストの棚をみていたGくん。
「欲しいのがでてきた!」
話を聞くと、飾ってある百式(ガンダムのロボット)の金色できらきらしてるプラモが欲しい、けれど、さがしたけれど、無かった!
「ボク、きらきらしたもの大好きなんだよ〜。」
あるんじゃねーの?、と投げやり風を装い、ガンダムのコーナーにいってこれ?とだすと別のやつらしい。(バズーカ砲もってるバージョンじゃないのね。)
これ?と出すと
「これ!」
と言って、勇んでレジへ。

支払いを済ませて、もう一軒の方へ行くとカードゲームの大会をロビーでやってたり。
あんまり興味を示しませんでした。
中に入ると、花火やらなにやら。
Tくんは、すぐに暇つぶしようにゲームのサンプルをやり始め、Gくんはウルトラマンを探し、Sくんは、くまのぷーさんのおもちゃのまえに。
手をならすと踊るやつ。
「これおねえちゃん好きなんだよ!」
おねえちゃん持ってるの?
「ちがう、ええとね、ええと、おねえちゃんはくまのぷーさんが好きだから、これもきっと欲しいと思うんだ。」
と説明してくれました。

結局、Gくんも、Sくんも欲しいものは予算の範囲では見つからないので元の店に戻ろう、と一時間ばかり店の中を見て回った後に決まりました。

「あ、欲しいもの出てきたんだけど!」
Gくんが出口付近で急に言うのでなにかと聞いたら
「DSのアタッシェ。」
任天堂のゲーム機を入れるアタッシェケースらしいんですが、予算があるなら買えば?ということを言ったら、
「買える!だって、2580円だったもん!」
まて、さっき、百式とミニカー買ったよな?今いくら残ってる?
「数える!」
というやロビーにどっかと腰を下ろし、財布の中身を広げるGくん。
「迷惑にならない範囲でやれよ。」
と言っておいたので、Tくんが周囲を通る人や、他の展示物に気を使い始めます。
「大丈夫、3000円くらいある!」
「欲しいのはいくら?」
そこで再計算、買えるというので、帰りの電車賃は?、ときくとはっとした顔をして
「ぎりぎり!、はーーーっ、足りないーーっ!」
帰りの電車、バスの代金を考えると、それを買うと帰れません。
「だから落ち着いて考えよう、って言ったじゃん。次に期待だね。」
「そうかー、しょうがないなー、次に買うときにするよ。」
と納得いたしました。

「腹減った。」
その直後Tくんが。
たしかに昼時か。
林の中のベンチで昼にでもするか、と歩き始めたら、入ろうとしてショック。
「スズメバチ注意と書いてあるからだめだなー。」
別の公園を探すか、と思って歩いていると、
「ねえ、公園あったよ!」
Tくんが道路向こうの公園を指しましたが、横断歩道もありません。
でかい道路は、車が止め処なく走っているわけで、歩道橋か、横断歩道ってところですか。
とはいえ、今回一番年上Tくん。
細かいお手伝いやしたの子の面倒は俺が見る!、という意思のもとあれこれとサポートを彼なりにがんばってくれます。

お昼は結局一軒目のところの階段の休憩所で食べましたが。
暑さと歩きすぎか、Sくんはあまり食欲がないようですが。
「食べなきゃ、倒れちゃうよ?」
倒れません。倒れませんけれど、Tくんが心配はしてる様子。
でもSくんも
「後で食べるし、そんなに食べないでも大丈夫だよ。」
と答えてました。

そうして。
戻ったお店でSくんは今までにないチャンス、全て自分で考えて、決める、を思う存分堪能しています。
Nゲージ、車のダイキャストモデル、車のプラモデル。
何がいいかなー、と聞きながらも、自分の興味あるところを次から次へと回ってより気に入ったものを探していくわけですが、なかなか決まりません。

お父さんが自動車整備の仕事をしてるし、お父さん大好きな彼は車に関するものが欲しいわけですけれど、あまりの数の多さ、いままでにない自由を前になかなか…。
だんだんとプラモデルにしよう、と思い始めてきてプラモデルの車のコーナーへ。
「どれがいいかなー。」
聞かれても、君の欲しいものを買えばいいじゃん。というと、いっぱいあって目移りするということを言います。
「これどうかな?」
カウンタックかー。子供のころ好きだったなー。
「お父さんもこれかっこいいっていうかなー?。」
お父さんは俺と同い年でしょ?、この年代は子供のころにこれかフェラーリにあこがれたからかっこいいというよ。
そうか、と言って箱をもどし、これはゲームに出てた、これはどうだろうか、と悩んでいると
「いいこと教えてやる。わからなかったらこれを買えばいいんだ。」
なにを吹き込むんだTくん。
「これはHONDAが最初につくった日本で最強のF1マシンだぞ!」
それ最初のHONDAのフォーミュラだけど、最強かどうかは、と思ったけど黙っとこう。
「うーん、いい。」
やんわり断るSくん。
「えー!、あんでー、これ最強なんだよ、かっこいいじゃん!」
「けど、いい。そういうのじゃない。」
自分の欲しいものは自分で決める意思は確定している様子のSくん。
お薦めを蹴りまして、さらに探すと
「これにする。」
とトヨタのプロトタイプレースカーの模型を。
「まだ買えるよね?」
お金あまってれば買えるよ、予算の範囲なら何を買おうとOK。
そこで、さっきのカウンタックを手に取ります。
「いくらになるんだろう。」
計算してみればいいじゃん、というとまだ習っていない部分があるかも、ということを。
そこでまたまたTくん登場。
計算方法や、値札の見方をいいつつ、S君に教えます。
そうするとSくん自分で計算して、
「買える!、買って来る!」
というので一緒にレジへ。
お金を出し、支払い、無事に購入。

全員購入終わったので、帰るか。
ああ、俺が買ってない!
「SOUくんが買ってないから、みんなSOUくんに付き合おう。」
おまえがいうな、T。
もうめっきり子供たちのリーダーです。

さて、自分がなにを買ったかというと、プラモ作りの道具と塗料用の道具とかなんですが
「プラモ買わないの?、ねえ、買う時間無いの?」
とSくんが聞いてきます。
ひょっとすると自分が悩みすぎて時間がないと思ったかもしれません。
そんなことはないので、買う予定ではなかったけれど、買います。
車にしよう。
その上、少し時間をかけよう。
さいしょにロータス7を買うことにきめ、あれこれ悩む。
そうするとみんながあれこれ意見をいってくれます。
で、結局ロータス7。
「なんで最強のF1(さっきのHONDA)買わないの?!」
「おめーが欲しいだけだろ?」
にはーと笑って、Tくんこっちを見ます。
「これどんな車?」
と聞いてくるのはSくん。
車好きでもロータス7はわからなかったか。
「その車ってレアなの?」
ちがう。
でもレア好きのGくんらしい視点だな。
 
こうして各自が買って道々あるきながら聞いていると
「一緒に峠に飾ろうぜ!」
とGくんに百式をつくって一緒に飾ろうと誘うTくんの声や、
「ねえ、それ一人でつくるの?それ一人でつくるの?」
とGくんに聞くSくん。
ソレに対して前に作ったことあるけれど、これは難しいかもしれないから、しっかりいろいろと答えるGくん。
「一緒にさ、峠でつくろうよ!」
とSくんを誘うTくん。
ニッパーやヤスリがないから、とわざわざ聞いて私に報告までしてくれます。
結構仲良くなっているし、最初の十数分、数十分一見人に悪口をいうかからかうかしてるように見えるのも、彼らなりのコミュニケーション方法なわけでした。

「せせんせい!、財布がさいふがない!」
そんなときにGくんの駅での叫び。
「じゃあ、ここでお別れ。さよーならー。」
Tくん、Sくんも一緒に
「さよーならー、元気でねー。」

いやいや、放っておきませんけど。
探しに探してリュックのポケットに。
あー、忘れてたけど、お店でわざと財布おとしたり隠したりして人に探させてたな。
そんときに無くさないようにしようね、とかいって財布おいらが背中にしまったっけ。
あははははは。
「なんだよ、先生しまうところが違うからあせったじゃん、ひどいよー。」
「自分でちゃんと管理しないのが悪い。」

無事に改札を抜け、駅のホームでジュースを買うとGくん、Sくんも買う。
けど、Tくんはジュースはプラモに化けたので買わない。
「先生、Tくんに買ってあげればいいじゃん。」
GくんとSくんに言われたんですけど、そりゃえらかったからかってもいいですけどね。
「今回みんな予算の中でやりくりして、お金を使ったのに一人だけジュース買えないだからおごってあげる、ってのは不公平だろ?」
うーん、とうなる二人。
「おごるなら全員に、だけどそれだと今回のもってるお金の中でっていうゲームのルールに反するからそれもできないでしょう?」
というと二人とも納得した様子。
でも電車に乗るときに、
「でもさ、買ってあげてもいいと思うんだ。」
とまだGくんは言ってきますが、ルールはルールだ。
今日のルールじゃなかったら考えなくもないけど、戻るまでは今日のルールの中で行動する。
ということを言いました。
電車の中で、Tくんにもジュースが飲みたいよね、という話をするGくん。
Sくんも、少しあげようか、というようなことを。
「大丈夫、そんなときのために、俺は他にも飲み物もってきてるんだ。」
とのこりの水筒を指し示したりするTくん。

そうか、隠し財産はもってこなかったが、その分水筒で対応しやがったか。
その後、電車の中ではなにごともなく、というかTくんは相変わらず他の二人に峠で一緒に作ろう、と誘いをかけるし、峠にもどってからも誘いをかけるわけなのですが、
「ひょっとして俺の道具が目当てか?」
「あったりー、ぴんぽんぴんぽん。」
知りません。

無事、峠へもどり、一息つき、無事におわった買い物ツアー。
たかがおもちゃを買うのでも、自分の手でお小遣いの中からいくら使える、いくらいくらをどうすれば、という計算(算数の世界だな)や、ほかの子との間のとりかた仲良くなり方、などを大いに発揮したと思いますし、個々の性格にあった考え方を十分できたもの、と思います。
もちろん、約束を守れば、こういう楽しみが待っている、という面から約束を守ることをすこしは学んだと思うのだけれども、はたしていつまでもつか、は学校の先生次第なのかもしれません。

マニュアルだけじゃ、上手くいかないんですよ、と学校の先生を教えたい今日この頃




その後  −後日談ー
Tくん
峠の展覧会にジオラマを作る、と意気込んでいたものの肝心のゼロ戦のプラモデルを逸って作り失敗し、頓挫すんぜん。
そこで、かれはこの前買った車のプラモデルを急遽展示用へとすることに。

しかし、彼はいままでと違い、あわてて作らず、塗料を買うのも、必要な色がないときはあせって似たようなそれでいてまるで違う色を買うということをしておらず、成功の兆しが。
どうやら、まずあわてて行動しないで、考えてみる、ということが少しづつできるようになってきてるだけではなく、メモまで取るようになってました。

塗料のメモ、まさか作ってるとは思いませんでした。


Sくん
いままで、お父さんが全て作ってくれたり、人から言われたりしての行動が多かった彼。
いまはお父さんが手を貸してくれるとは言え、しっかり自分の手で作るようになっているようですしピタゴラスイッチも、設計を書こうというと描くようになってきたようです。

でも、いま一番欲しいのはおそらくスペースワープ(ボールを転がすおもちゃ)


Gくん
お父さんと一緒に百式を製作中。
約束を守ったりの結果かどうかしりませんけれど、とりあえず自分のノルマを自分できめて、そのノルマをまもって行動してるようです。

あのあとまだ一回しかあってないので、これから補足説明が増えるかも。



2006年8月20・21日
野外教室 チャレンジ&アドベンチャーキャンプ/神奈川県・丹沢 戸沢山荘

思い返せば、去年、スタッフ含め、総勢8人で小ぢんまりと行われた峠工房キャンプ。
同じコースなれど、今年は子どもだけで12人、そして大人が5人、総勢17人の大所帯となりました。尤も、日〜月とまたがって行う峠キャンプ、大人は殆ど日帰り参加です。
スタッフは、園長、大倉までの荷運びと、大倉からのハイキング先導担当SOU君、日帰り組送迎車係で、私の彼氏のMINOちゃん、例によって水着、おもちゃフル装備の私、日帰りのKちゃん。

峠工房集合は、私の同級生の子どもさんの、M.Iちゃん、K.I君姉弟、その二人の荷物を一手に引き受けて、一人、「え、えーっと・・・何週間お出かけで?」と思わず聞きたくなる位のリュックを背負った父さん。先だっての買い物ツアーにも参加した、生活塾で週3日峠に来ているS.G君。これまたリュックがでかい。きっとリュックの大きさは、親の心配に比例しているのだろうなあ、とは、思うものの、背負ってる本人は大変だ。
今年は万全の体調と蓄え(脂肪の・・・)で参加のK1君も峠工房集合です。
車組のSOU君とMINOちゃんを残して、南瀬谷からバスで大和まで。ここでの合流はなく、相鉄線で海老名へ。
小さい子もしっかり者も忘れ物の王様も、今日は、皆、自分で気をつけて、切符をなくす事もなく、忘れ物もする事もなく、すこぶるスムーズな道行。

海老名で最終的な合流。
生活塾からは、毎週峠に入り浸っている、自称・シティーボーイのでんでんむしのT.S君(横浜生まれ)とT.S君曰く、田舎者のお母さん(青森生まれ)、両親の心配を他所に、一人ヤル気満々のG.K君とお父さん。この二人も買い物ツアー参加組。S.G君とは顔なじみ。むしろ戦友?シャイなイケメンR.A君、去年も参加したD.A君、G.A君、K.Aちゃん兄弟。
他にすっかりお馴染みとなったS.Nちゃん、H.Nちゃん姉妹、あまり似ていないけど二人とも美人なこの姉妹。S.Nちゃんはお母さんそっくり、じゃあH.Nちゃんはお父さんそっくりなのだねー・・・って事はお父さんイケメン?と、一年以上期待をしていたお父さん。今回両親揃って日帰りで参加。初対面となりました。水泳大会とかぶってしまったS.Nちゃんも日帰り参加です。ここでもやっぱり荷物が多い人が多い。R.A君なんか「丁度良いのがなくて・・・」とリュックを二つ持ってきている状態。
どうも学校の行事では、大きすぎるリュックか小さすぎるリュックしか使わないので、普段から旅慣れている家庭は別としても、皆丁度良いリュックがない様子。

ここから小田急線に乗り換えて渋沢へ。
去年と同じく、少し早めに到着。9時18分の大倉行きのバスに乗れました。
バスを降りて、車組との合流地点、山岳トレーニングセンター裏まで歩きます。吊橋辺りから、やはり今時の父さん達、ビデオ回したり、写真を撮ったりと大忙し。最年少(年中さん)参加のK.I君父さんは色々と世話を焼いてて、これもある意味大忙しでそれ所ではない様子。どっちにしろ皆、ナイス親ばか。ステキすぎ。

ここで園長はSOU君と交代、MINOちゃんと共に荷物を積んで小屋まで先行します。

去年、S.Nちゃんがオオムラサキを見つけた場所で今年はS.Nちゃんの父さんがカブトムシの雌を捕まえました。名前は汚子(きたなこ)ちゃん(汚れてたから)とし、N家の家族の一員になるようです。
去年、お昼を食べた場所に予定より早く到着したので暫し話し合い。
ここで早めのお昼にするか?もう少し行くと川があるからそこで遅めのお昼にするか?
積極的な意見を言う人と、退屈して悪戯する人に分かれたので(分かれる場所が違うだろ・・・)積極的な意見を優先し、川まで歩く事となりました。

川につき、しちーぼーい、しちーがーる達が「この水飲める?」なんて言いながらはしゃいだり、滝の写真を撮ったり、下の道に石を投げて怒られたり、拾得品収集家のK1君が鹿の骨を拾ったり、暫し、盛り上がり、少々落ち着いた所で、いざご飯!と、言う時に突然、土砂降りの雨。
「迎えが来た方がいいかもしれんな。」とのSOU君の判断で、携帯の通じない山中、人間電波として、私が小屋までダッシュ。
早々に上がる息に、何度目かの禁煙を誓い、小屋についたら、園長とMINOちゃんは既にお迎えスタンバイOK状態。
車で向かうと丁度、皆ハイキングコースと小屋までの道が交差している辺りにいて、「最後まで歩く。」と言う数人の負けず嫌いを除いて回収。
少々の時間差の後、無事、全員小屋に到着しました。

「のんちゃん!早く着替えなよ!」
飛び交う子ども達の指令。ええ、そうでした。勿論、川で遊びますよ。今年も水着ですよ、年甲斐もなくねえ。「若い!」と褒めて(違うと思う)くれて、Nさん母さんありがとう。しかもビキニですよ、ははははははは。ってか、微妙に寒いんですけど・・・。
N家姉妹も今年はニューモデルのビキニ。
管理人室を更衣室として使わせてもらったのですが、女子の着替えの長さに痺れを切らしたT.S君が「もう良いよ、俺ここで着替える!」と着替え始め、結局男子は皆、管理人室を使わずに着替えちゃいました。私はトイレで早々に着替えていた。女子が身支度遅いのは定跡だもんねー。
と、見ると、去年、水着を持たずに来て、私の金魚フロートで裏返り、服をずぶ濡れにし、最終的には開き直って遊んでいたK.Aちゃん。着替えている様子がない。「あり?水着はよ?」「持って来てないから良いの、今日着てる奴を水着代わりにして遊ぶ。」

さて、今年の私のおもちゃ。
お馴染み、金魚フロート。バルカン型水鉄砲。散弾式大容量水鉄砲。テント。
早速男子は水鉄砲の奪い合いです。
私の水鉄砲は、G.A君、R.A君の手に渡り、自前で持参のT.S君、G.K君、二つ持ってるから他の人にも貸してるS.G君。
それで誰を攻撃するんだい?君たち?・・・って、勿論愚問。私とSOU君が狙われるに決まってるじゃないですかーっ!
沢を少し上って、深みになってる場所でフロートで遊ぼう、と、酸欠でふらふらになりながらフロートを膨らましている(でかいんだもん、フロート)事等、奴らにはお構いなし。
いつの間にか、大人しくって人格者のM.Iちゃんまでにこにこと水をかけている。
とりあえず、かぶっていた帽子で、一番強力な水鉄砲を使っていたG.A君に、頭から水をぶっかけ、SOU君がT.S君を深みに投げ込み、私は引き続きフロートを膨らます。
で、フロートが膨らんだら何をするのか?と、思っていたら、何故か金ちゃんと名前をつけて飼育し出しました。こ、子どもの想像力のツボって・・・

ひとしきり遊んで夕飯の準備。って、私は飲んだくれてただけですが。
だって、火を熾すのを手伝ったり、肉を捏ねたり、野菜を切ったり、意外と皆、進んで働くんですもの。家じゃお手伝いしないんだろうに・・・。そんな中、中学生のD.A君がさぼっていたのが見つかり園長に大目玉を食いました。去年は6月の時も8月の時も張り切って先走って手伝っていたのに、大人の狡さが芽生えたか?!
「そのきゅうり、Iさんちの?つまみ食いして良い?」と、Nさん母さん。そうです、Iさんちは地元でも長く続く農家で、しかも野菜が美味いんです。M.IちゃんとH.Nちゃんが同級生、しかも仲良しのNさん母さんはそれを知っていたんですねー。今回、きゅうり、スイカはIさんちより頂きました。
散々食べて(子どもたちが)お腹もいっぱい(子どもたちが)。日帰りの人たちは、ここでお別れ。
山形から出て来て2年、ほとんど神奈川の道を知らないMINOちゃんの運転で帰って行きました。奇跡的に帰りつけたそうです。

それから有志で夜の散歩。ハクビシンを見つけ、舞い上がったT.S君がつい水鉄砲で打ってしまいひんしゅくをかい、T.Sくんは いいわけの レベルが あがった←昔のRPG風。
所でテント。遊んでる時の小荷物収納用に組み立てておいたのですが、G.A君、T.S君が「テントで寝る!」と頑張り、何故か二人はテントへ。本当は私が寝たかったのにぃ。
小屋では、何となくゲーム好き繋がりでR.A君とG.K君が仲睦まじくなっていたり、I家父さんが家族で一番最初に寝てしまったりとまったりムード。少し延長の後、消灯。今年もK.Aちゃんが寝言で怒っていました。

翌朝、S.G君が鼻をぐずぐずしているので目が覚めました。そー言えばアレルギーあるんだっけ・・・「だいじょーぶー?」と声をかけると、普段から私と遊ぶのが大好きな彼は遊びスイッチが入ってしまったようで、まだ寝ている皆を気遣って外へ。するとテント組も朝早い。
4人でだらだらふらふらしていると林道に物陰・・・「あ、鹿だ。」皆で即林道へ。ここでもまたテンションの上がったT.S君が水鉄砲で打ってしまい、大ひんしゅく「鹿には山ヒルがついてるからさ、俺は皆を守ろうと思って・・・」T.Sくんは いいわけの れべるが あがった。

皆も起きて、朝ごはんの準備。
皆、火に悪戯するので、かまどの火力が安定せず、中々ご飯が炊けない。その内退屈からか、少々小競り合いがあったりしたけど、子どもが10人以上いりゃあ当然だわな。政治家なんて大人なのに小競り合いばっかりしてんじゃん。
「カレー食べたかったりする人いる?」の園長の問いに皆大賛成。しかし、甘口だったらいらないって言う子や「カレー好きだけどご飯と混ざるのがどうも苦手・・・」って言う子がいたりで、納豆も用意したり、別々に盛ったり、各々の希望を聞いて好きなもので好きなようにご飯を食べました。
そして又川。今日も微妙に寒いけど、やっぱ川。
二日目ともなると、気心が知れるのか、おもちゃの奪い合いでもめたりとかし出す。男子だから、女子だから、大きいから、小さいからを問わず、小競り合いは両方から話を聞いて判断するのが峠の流儀。フェアな判定なら皆受け入れます。
しかし、なんだ。他人(持ち主=私)のおもちゃでケンカすんな。
散々遊んでいるうちに、ふと誰が漏らしたのか「トランポリンで遊びたい。」
急遽予定変更となり、昼を食べずに下山。そうなると、そう、荷物の整理。
歩いた通りに荷物を撒き散らしているくせに「俺、荷物かるーい!」と喜んでいる人がいたり、靴下が見つからずに絶望してる人がいたり、それを励ます人がいたり、何かおもろいです。
帰り道、先行した人達は鹿が見れたそうです。
それから皆、下山の疲れはどこへやら?トランポリンで遊ぶ。そのうち飛びすぎて気持ち悪くなる人がいたりして、どんぐりハウスへ。アイスを食べて、やっぱりお腹空いてるのでおにぎりも食べて、お土産を買って帰り道。
海老名から兄弟で帰ると言う、A家兄弟に何となくついて行ってしまったT.S君と私は、一台はやい電車で大和へ。グエムルはどうなんだろう?なんて話をしながら皆を待ちます。
大和でN家家族とH.Nちゃんが合流し、小田急線で帰りました。
G.K君、T.S君は峠まで同行、それから親御さんが迎えに来ました。

さて、今回、どっかのキャンプみたいに何でも大人がお膳立てして、ルールに従わないと怒られてってんじゃないキャンプに初めて参加した人達は、「今までで一番楽しいキャンプだった。」と嬉しい感想。そして、「次はいつ?どこ行くの?」・・・ああ、行事の無間地獄。




活版印刷体験/ 峠工房
この夏、思いもよらぬ大反響のあった「活版印刷体験」。
二日間日程で、一回目は、デザインと練習。二回目は、実際の印刷と製本です。
作品は10月の展覧会で展示させてもらう予定です。

N.K君の場合
夏休みの自由研究にどうか?いや、実は私がやってみたい(え?)・・・と、お母さんに打診を受け、7月の生活塾中に提案してみました。
説明を聞いて、すっかり乗り気になり、その日のうちに、数学大好き、ゲームのルール大好き、文字大好きな彼は、数式記号とトランプのゲームの名前をデザインし、仕上げにサイン(最近マイブームのようです)も入れて、あっと言う間に完成。
練習の為、印刷機とご対面。メカ好きの彼は、印刷機が欲しくなるほど気に入って、練習で刷ったものも持ち帰りました。

二回目は8月第一週。
既に練習で刷ったものはファイリングされていました。ステキに几帳面です。
おじいちゃん、お父さん、お母さんと暮らしている彼は、作ったメモをあげたい人がたくさんいます。一冊20ページで、自分の分も含めると4冊。
峠の活版印刷機は手動式です。
つまり、20ページx4冊分の80枚を一人で印刷しないといけない、と、言う事です。
薄い大き目の紙を合わせるのは、慣れないとかなり精神的に疲れます。印刷機のハンドルは重く、反動に負けると印刷がかすれたり、紙がよれたりします。それらを気遣いながら80枚も印刷する。まだ3年生の彼にそれだけの集中力があるのかしら?と、心配しましたが、見事一人で成し遂げました。

その後、生活塾でその感想文を見せてくれました。
詩的なものや感情表現が苦手と言われる彼ですが、やはり気にいってやったものだと、愛着が沸くせいか、気持ちが現れていてすっごく良い作文でした。




M.Iちゃんの場合
近所の小学校に通う、私の同級生の娘さん。
普段からおばあちゃんの畑のお手伝いをよくしています。
さて、一回目はデザインと練習。
やはり女の子。お花や果物等可愛いものをデザインしました。
印刷機の練習は、さすが、お手伝いをしているせいか、すぐに作業の勘所を掴みました。

二回目は、既に職人の貫禄?
迎えに来たおばあちゃん(園長も勿論古くから知り合いだ)に、お手伝いしているせいか、すごく作業なれしている旨を伝えると、お手伝いをしてもらっているおばあちゃんも大変誇りに思ったようでした。



H.Nちゃん・S.Nちゃんの場合
キャンプの時、H.Nちゃんが夏休みの自由研究が実はまだ・・・だと、聞き、勧めてみたら「やる」との事。キャンプの興奮(疲労も・・・)覚めやらぬ間にやって来ました。
元々、お絵かきも好き、お洒落なものも好きな彼女、ちょっと大人びた、ロックな感じのデザインにしました。
その日の午後、お迎えに来たお母さんとお姉ちゃんのS.Nちゃん。「うちはやらない」と言っていたにも関わらず、妹の力作を見て、むくむくとライバル意識?と、創作意欲が湧き上がり、急遽やる事に(っていうか、お母さんの作戦だよね、これ・・・)。
その頃には、何か皆集まっちゃって、周囲はわあわあと大騒ぎだったのですが、キュリー婦人の如き集中力を発揮し、オリジナルキャラクターのシャボンをデザインしました。
二回目は二人揃って来ました。
S.Nちゃんはさすが6年生、作業の飲み込みも早いし、力もあるからハンドルの反動も巧く殺しています。
普段、「私は意地悪なの。」と、豪語しているS.Nちゃんですが、H.Nちゃんの様子を終始気にかけていて、中々良いお姉さんっぷり。
後日、学校の自由研究作品展に行くと、S.Nちゃんは、活版印刷体験の素晴らしいレポートもつけて提出していました。


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